Becoming a Teacher - Why? | University of Helsinki
フィンランドについてはたくさんの情報があります。教育についてもほとんど言い尽くされていると思います。実際に政策においても教育は大事にしている国です。日本とは質において大きく異なりますが、日本には日本の良さがあり、フィンランドにはフィンランドの良さがあります。逆もしかりです。ここでは、研究における私の個人的な経験とそれに関するリフレクションの一部を書いておきます。
ヘルシンキ大学のSeppo Tella先生(名誉教授)は、すでに私と同じように退職していますが、いまだにヘルシンキに行った時は会っています。人間的にも学者としても尊敬に値する人です。その先生がまだthe Faculty of Educational Sciences の長だったときの話をします。一時言語教師教育に関するプロジェクトを共同でしました。その際に、フィンランドの教師教育は、pedagogyよりもdidacticsを重視している、あるいは、ヘルシンキ大学ではそうだという趣旨のことを議論したことがあります。
Pedagogyとdidacticsは、日本語では、「教育あるいは教授」という用語が使われていて、議論にはなりません。言い換えると、教えることは科学としてエビデンスを重視するか、あるいは、全人的なアプローチを重視するか、というような議論に近いと思います。教育学関係ではpedagogyとdidacticsは頻繁に使われていて、定義は明確ではないようです。教育哲学の問題でもあります。
しかし、一般的には、次のような受け止め方が主流のようです。
While didactics is a discipline that is essentially concerned with the science of teaching and instruction for any given field of study, pedagogy is focused more specifically on the strategies, methods and various techniques associated with teaching and instruction. Pedagogy also refers to the ability of a teacher to match theoretical foundations or concepts with practical methods of knowledge transfer in education on language-related problems, while responding and adapting to the learning strategies of their students. Finally, didactics is teacher-centered and based on the sum of theoretical knowledge and practical experience. In comparison, pedagogy is learner-centred, since the teaching must be adapted to respond to the complexity of student needs. -- https://reflectiveteachingjournal.com/difference-between-didactics-and-pedagogy/
私もほぼそのように受け止めて理解していますが、それでは、didacticsはひょっとすると悪い印象になってしまいます。Seppo Tella先生は、あくまでdidacticsを重視した考えで、教えることも教員養成もdidacticsとして、教育は科学であり、教師は科学的に教育をすることが大切だと主張していたように思います。
しかし、私の印象では、フィンランドの教育は、「個を大切にする」「学びを重視する」「思考のプロセスを尊重する」「失敗に寛容であり、多様な考え方を許容する」などの特徴があり、授業は、決して教師主導ではないように見えるし、生徒に押し付けることはしません。一見すると、授業自体は特に見栄えるするパフォーマンスはないが、深く考えている印象があります。
この点から考えると、日本の教師の授業の方が表面的には見栄えがしますが、思考は浅いような気がします。しかし、学ぶことをどう考えるかというと、フィンランドの教師の方が深く、生徒の思考や意思決定を尊重しているように思います。これは、英語学習でもそうです。単に、語彙、文法、発音を教えるだけではなく、また4技能の活動においても、ちょっとした工夫があり、生徒の自律性を促すようにしている印象があります。
フィンランドの調査は、主だった大学は何度か訪問し、その付属の学校も訪問し、教師とも話し、生徒とも話してきました。体感的には、フィンランドの教育については理解していると思いますが、体系的にまとめると、今まで出ている本と大差がなく、まとめていませんが、いつかまとめたいと思っています。
Summer in Finland
フィンランド 季節は変われど 晩夏かな