2025年8月10日日曜日

Your English is good / あなたは英語が上手 2025年8月 10日(日)

「英語が上手ですね」と言われることがあります。しかし、「日本語が上手ですね」「国語が上手ですね」とは言われません。「絵が上手ですね」「歌が上手ですね」「ピアノが上手ですね」などとも言われます。しかし、「理科が上手ですね」「社会が上手ですね」「経済が上手ですね」とは言わないです。 「英語(日本語)が上手ですね」は英語を母語とする人には言いいません。ということは、それは、暗に英語(日本語)がそれほどできないだろうと思われる人に対する言い方なのかもしれません。

「Your English is good. You speak English very well. You are good at English.」などと、私は生徒に使うことはよくあります。学習中の人に評価として使います。特に嫌味はありません。しかし、次のような記事を見ました。

イチローの英語スピーチが「中学レベル+α」でも世界から絶賛されたワケ【専門家が解説】

丁寧は解説で、総じて好意的に書かれていて、発音、語彙、文法などの面を説明し、「中学校+α」のレベルの平易で良質なスピーチとし、聴衆の心を掴んだ理由を、ただ原稿を読むのではなく、自分の言葉で話した点を強調し、英語を学んでいる人を勇気づける内容でした。さいごに、「イチロー氏のスピーチは、『英語ができないから無理』と諦めがちな日本人にとって、極めて現実的かつ勇気を与えるモデルです。まずは自分の専門性を磨くこと。その力を武器に一歩外へ出れば、環境も言葉も後から必ずついてくる。そんなメッセージが、あのスピーチ全体に込められていたと思います」と締めています。私も同感で、おもしろく読ませてもらいました。単に、「イチローの英語は上手」で済ませてしまうのはよくないと思いました。

原稿はイチロー氏がすべて書いたものではなく、誰かが手を入れたと思います。誰でもそうですが、人前で話す際には、ある程度の原稿は必要です。その場で考えて話す人はそれほどいないでしょう。書き言葉でも話し言葉でも、誤りは必ずあります。私が書いているこの日記もたくさんあります。見直さないというポリシーなので、その誤りも自然な記録として残してあります(何度もこのことは言っています)。ある人は、そのような誤りに敏感で指摘して、評価しません。が、私はそうではないと思います。特に話し言葉は修正が聞きません。しかし、それを逐次指摘する人はいないでしょう。大切なことは何かということです。イチローのスピーチも、記録に残る、あるいはいちいち原稿をチェックする人がいるだろうと想定して作成されています。イチローという人を表現する最善の方法を自然にとったと考えます。その面から、私はやはりすごい人だと思います。

さて、Your English is goodとはどういう意味なのでしょうか?発音、語彙、文法、談話構造、論点構成、笑わせる、興味を引く、まるでnative speakerのようだ、などの評価のポイントがありますが、私自身、あまり話をすることは得意ではないし、発音もよくありません。語彙や文法もよく間違えます。話すときに、構成などを考えて話すことはなく、ジョークも言いません。ただ伝えたいことを話します。イントネーションなどは考えたこともありません。

私が学習者にYour English is goodなどと言うときは、「意味がわかる」ということです。ただあまりそういう評価はしません。なぜかと言えば、その言い方自体嫌いだからです。「日本語上手いですね」もあまり言いません。それよりも、話している内容に興味があるからです。内容のない話には興味がありません。だから、英語のスピーチコンテストなどの審査は好きではありません。書くことも同様です。Introduction, body, conclusionなどの構成で、bodyに、first, second, thirdとし、conclusionで、in conclusion, ..などの書き方ばかりに固執する文章は、ほぼ読まないです。

Your English is goodよりも大切なのは、中身です。発音、語彙、文法などよりもcontent, logic, argumentationなどを大切にします。それは、仮定法を使うとか、関係詞を使うとか、文構造を工夫するとか、倒置を使うとかが重要ではなく、discoure, narrative, textが重要だと思います。一般的な語句を使い、平易な構成でも、私は十分だと思います。

インターネット上を見ると、たくさんの英語学習教材、英語教室、学校などの案内がたくさんあります。〜メソッド、第二言語習得にもとづく〜、オールイングリッシュ、CLT, Bilingual. CLIL, Native speakerが指導する〜、〜大学出身〜などなど、すごい宣伝がたくさんあります。決して悪いことではありませんが、ビジネスが過ぎるのではないでしょうか?学習の機会が多様化することはよいと思いますが、世の中にそんないいものばかりあるはずがありません。結局は、一人ひとりのやる気と努力です。

結論、「Your English is good」「あなたは英語が上手ですね」というような、発音、語彙、文法などの英語の表面的な表現に焦点を当てるのではなく、その表現している内容や考え、伝えたいことに焦点を当てることがとても大切だと思います。私たちは決してアメリカ人にもイギリス人にもなるわけではありません。


夏の草 茫茫として 野を覆う