あべ文部科学大臣記者会見(令和7年8月1日):文部科学省
型通りの会見です。 令和6年度経年変化分析調査・保護者に対する調査の結果が国立教育政策研究所が先日公表されました。目的は、「全国的な学力の状況について、経年の変化を把握・分析し、今後の教育施策の検証・改善に役立てるため」としています。詳細な調査結果はすべて見ていませんが、概要を見ると、報道にあるとおり、小学生と中学生の学力は低下している、ということです。原因を特定することはむずかしいと思いますが、総じて、新型コロナ感染症の蔓延(the COVID-19 Pandemic)が影響していると考えられるということです。
「学力」の定義はむずかしいとおもいます。PISAという国際調査があります。Programme for International Student Assessmentの略で、日本語では「OECD生徒の学習到達度調査」などとしています。「学習到達度」としています。英語では、academic achievement, performance, ability, knowledge, skillsなどと言うのかもしれませんが、日本語の「学力」というものがなんなのかは、どうも明確ではなく、人によって違うということが少し見えてきます。英語では、assessmentという言葉がよく使われる印象が私にはあります。それは、アセスメント、評価、測定などと日本語では言われます。Assessmentは「the act of judging or deciding the amount, value, quality, or importance of something, or the judgment or decision that is made」(Cambridge dictionary)などと定義されています。「ある判断をするための行為」と言えると思います。
What is Assessment for Learning?
今回の調査は、国語、算数(数学)、英語のテスト問題の正答のスコアを量的に調査した資料と保護者などに学習の様子をアンケート調査した資料をもとにしています。経年的に続けているので、この調査自体の形式は今後も続くと思います。「学力(学習到達度)」調査と、子どもたちの学習状況を今後も続けていくということです。調査は、文部科学省の学習指導要領の方針に基づく学習調査です。学習指導要領がどの程度達成されているかという意図をもって調査しています。報告書では次の3点に焦点を当てています。
○ 主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善
○ 学習指導の充実
○ 次期学習指導要領に向けた中央教育審議会における検討
特に、さいごの点が重要となると思います。そこでは、「経済的に困難な背景のある子供たちを含め、子供たち一人一人が必要な資質・能力を育成できるよう、各教科等の改善や柔軟な教育課程編成の在り方について、次期学習指導要領に向けた検討を行う」としています。
方向性としては、家庭の社会経済的な問題と保護者の学習に対する意識から、学力が低下したのではないかとして、学校の授業や学習の仕方を改善し、教師や家庭への支援が望まれるような意図を感じました。しかし、そもそも「学力」の捉え方が変化していると考えることが大切な気がします。すべて読んでいないので的を射ていないかもしれませんが、あえて言うと、調査の視点が「学力(学習到達度)」だけに視点があり、「何のために学ぶのか?」「学校での学びの意味は何か?」「テストの意図は?」「家庭学習は学校の勉強だけでよいのか?」「本を読むことがどれだけの意味があるのか?」「子どもたちに何を期待しているのか?」「家庭の生活習慣にまで立ち入る意味は何か?」「文部科学省はどこまで学習に関与したいのか?」などなど、多くの疑問が残る調査という印象を持ちます。
調査自体に意味がないとは思えませんが、調査が対象としている「学び」に対する姿勢が形骸化しているような気がします。学習指導要領ありきではなく、もう少し伸び伸びとした教育政策を望みたいと感じます。なぜならば、日本の子どもたちの学習状況は決して悪くないからです。おそらく、学力が低下しているのではなく、学習の質が変わっているのです。体験などが多くなっているのもその成果の現れだと思います。よいことを伸ばして、意味のないことはやめるべきです。個々の問題に対する回答を見ると、 CBTの回答とPBTの回答に差があったりしています。無答がある一つの要因には、意欲がないということもあると考えます。無駄な調査はやめて、意味のある活動や調査をしていただきたいと考えます。
夏の旅 学びは遊び テスト嫌