私がCEFR (the Common European Framework of Reference for Languages: Learning, Teaching, Assessment)を知り、興味を持って、20年以上になります。きっかけは、小池生夫先生の科研費研究でした。当時は、外国語学習スタンダードについて研究し、カナダやアメリカ合衆国などの外国語学習スタンダードにも興味を持っていたので、調査をしました。「ヨーロッパ言語共通参照枠」という日本語に訳され、英語教育やその他の言語についての到達度の科学的知見を求めて多くの研究者や教師が関心を示していました。現在は、言語学習のレベルの指標として定着し、A1, A2, B1, B2, C1, C2という6段階が多くの言語テストで参照されるようになっています。
What is the CEFR?
しかし、研究した立場で言うのも何ですが、いわゆる、初級、中級、上級というレベルを6段階にしただけです。つまり、初級の下、初級の上などというような程度です。当時の雰囲気は、科学的なデータをもとに言語材料(語彙、文法、発音など)を調査し、難易度などを統計的な分析をもとに、もう少し細分化して段階を明確にし、各言語レベルの記述の仕方を科学的な根拠をもとに提示することを検討していました。英語においては、English Profileが代表的なプロジェクトです。 日本では、CEFR-Jがそれに当たります。私が関わったのは「ジャパン・スタンダード」ですが、より実践的な観点から英語レベルの指標について検討したものです。私の観点は、英語レベルの指標は教師の実践経験にもとづく指導としての判断を優先するほうが重要だということです。科学的にレベルを客観的に判断することは多くの変数があり困難なので、教師や生徒が学習の中で判断の一つの指標として利用する資料としてCERFを利用することです。
細かいことはさておき、CEFRが言語レベルの評価(assessment)だけに焦点が当たったことは残念です。CEFRは大きな言語学習や指導の枠組です。ヨーロッパの多言語多文化状況に対応する実践的な考え方が、それまでの知見を総合して示されています。特に、ELP (European Language Portfolio)は、学習者の自律的な学習を支援をするとてもよい考えで、今日の言語学習の基本的な視点を示しています。日本では、そのような考え方は浸透せず、依然としてテストが主流です。結局何も変わっていないと言わざるを得ません。
外国語学習と言えば英語で、他の外国語は視野にありません。また、英検などのテスト、スピーキングテストの導入など、入試対策など、相変わらずです。ヨーロッパの言語政策が日本では浸透しません。CEFRのレベルの指標は本来自己評価に利用されることを目的としています。自分がどのレベルにあるのかということを把握することが、その後の学習につながるということです。それを教師が支援するという構造です。その判断材料がCEFRの構想の中に収められています。
Awakening to Languages | Eveil aux Langues | A Pluralistic Approach by the Council of Europe
現状のヨーロッパはそのような平和と安定からは少しずつ遠ざかっています。CEFRどころではないのが現状でしょう。次は、CEFRの核でもあるPlurilingualism, Pluriculturalismについて考えましょう。
冬晴れや おしゃべりはずむ 人と人