Argument and Dialectic (Aquinas 101)
神学は、Thomas Aquinasによって体系化されたと理解しています。その際に弁証法(dialectic)は重要な議論の土台となりました。そのおかげで、神学が、自然科学や哲学などの人文学の基礎として西洋では位置付けられるようになったと理解しています。その中でも哲学とは最も密接に関連しているように思います。そこで神学でも哲学でも重要な思考の方法として弁証法について考えます。
弁証法というのを正確に理解している人は少ないと思います。私もその一人です。哲学では、弁証法を、アリストテレス、カント、ヘーゲル、マルクスなどに代表される方法論において、様々に細かく複雑に議論されています。英語では、dialecticと言われています。それは次のように辞書的に説明されています。
a method of examining and discussing opposing ideas in order to find the truth (the Britannia dictionary)
dialectは「ことば」という意味です。英語的に考えれば、「ことばを使って真実を探求するために調べ話し合う方法」というように考えられます。弁証法も「弁論によって証拠を見つける(証明する)方法」と単純に考えることができます。しかし、哲学的には様々な議論があり、一般的には弁証法は定着しません。
Richard Sennettという社会学者によれば、dialogic(対話的)と比較して次のように述べています。
Dialectic conversation: A verbal play of opposites, which should build up to a synthesis, i.e. a resolution of differences. This is obtained by discovering common ground by listening to each other, and rephrasing the opposition so as to evidence commonalities. The Platonic dialogue is a masterful example of such dialectic conversation. Unity of mind comes at the end – and ‘truth’.
Dialogic conversation: The discussion does not discover common ground; rather it expands reciprocal understanding. Opposite ‘truths’ face each other off – dialogic conversation is meant to find room for reciprocal accommodation, not resolution.
要するに、弁証法とは、相対立するものを話し合い、共通のものを見出していく論理的な対話の作業で、それに対して、対話は、単に共通理解を図っていくような対話の作業と考えるとわかりやすいと思います。神学においては、神の正当性や存在を示すことは重要です。聖書(神の証拠の記述)に書かれていることの正当性をさらに多くの人に理解してもらうために、弁証法は重要です。それとともに、一般的には対話も重要となります。
学問としての「哲学」はことばの定義は重要なので仕方がないかもしれませんが、西洋哲学の紹介が日本語でなされて以来、宗教も含めて難解な言語が使われ続けています。英語の方が、私にとってはわかりやすいし、ラテン語などでも同様です。「弁証法」はギリシャ語では、dialektike techneだそうです。平たく言うと、「人とどう対話するかという技術」となります。英語でもdialectic (conversation)です。「弁証」と「対話」がほぼ同様の意味合いがあることは、日本語からは類推しにくい時代になっています。
結論は、弁証法という用語を、ギリシャ哲学、神学、カントやヘーゲル、マルクスなど哲学的アプローチの作法は大切ですが、もう少し一般的に使えることばとして流通できるようにすべきと思います。私個人は、日本語は定義が難解なので、dialecticという英語を使うようにしています。問題かもしれませんが、その方が親切な気がします。その点から、ソクラテスの対話は有効でわかりやすい気がします。
How to Use the Socratic Method (for Dialogue, Debate and Critical Thinking)
ゆく年や 残り3日に なりにける